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お客様インタビュー#2「愛車との付き合い方」メルセデス・ベンツ420SEL(W126)

トピックス

 

お世話になっているお客様へのインタビューをさせていただきました。

インタビュー企画第2弾!

 

お伺いするお話のテーマは

「愛車との付き合い方」です。

 

 

どのように愛車と向き合い、どんな付き合い方をされているのか。

この部分にクローズアップしてお話を伺わせていただきました。

 

 

第2弾の今回は、昭和63年式 メルセデス・ベンツ420SEL(W126)

にお乗りのお客様へインタビューをさせていただき、貴重なお話をお伺いすることができました。

ご協力ありがとうございました!

 

 

 

 

以前いままで乗られてきた、たくさんのおクルマやバイクのお写真を拝見したのですが、どういった経緯でメルセデス・ベンツ(W126)に乗られるようになったのですか?

 

 

もともとメルセデス・ベンツは嫌いだったんです。

 

 

当時は簡単にローンが組める時代ではなかったですし、メルセデス・ベンツといえば「成功者のステータス」というクルマでした。

 

 

私みたいなただのサラリーマンが乗れるはずがないと思ってましたから。

 

 

 

このクルマは昭和63年式で今からだとちょうど30年前になります。

 

当時はお金がなかったので、先輩から10万円で譲ってもらったバイクや、ハコスカとかブルーバードとか。安く譲ってもらっていろんなクルマやバイクに乗るといった具合でした。

働いて残業して。

クルマとバイクのために、寝ないでお金を稼いでいました。

 

税金とか維持費を考えても、「やっぱり自分はベンツには乗れないな」と。

 

 

自分の性格は天の邪鬼なんです。だからベンツに対しては食わず嫌いしていました。

自分で敷居を高くしていた部分はありますね。

 

 

 

 

それがどうしてメルセデス・ベンツに興味を持たれたんでしょうか。

 

 

第一弾でご紹介されていたW140型のメルセデスS600に乗させていただいた時です。

 

 

この時はもう、感動の域を超えましたね。

 

 

当時神奈川県に住んでいてお世話になっている社長さんに助手席に乗させていただきました。

直進安定性、静粛性、V12気筒エンジンで12発のピストンが動き出したあのエンジンの音です。

助手席からでも十分に分かりました。

「ちょっとドライブするねー」って言われて、湘南海岸をおっちゃん二人で!

 

 

アクセルを踏んで加速するS600は本当に異次元の世界のクルマでした。

 

 

その社長から言われたのが「メルセデスワールドに入ると大変だよ」と。

 

 

私自身「これだ」と思ったら入れ込むほうですから、自分でコントロールできるまではキーは持たないでおこうと。

 

ベンツってのは「ちょっとつまんでみようかな・・」だと、たぶん痛い目に遭いますから(笑)

 

 

 

 

ベンツを維持するためには何が必要でしょうか。

たとえば経済的な余裕という部分でしょうか。

 

 

収入ではないでしょうね。“覚悟”の方が必要だと思います。

 

いずれにしても前準備で知識だけ入れちゃうと、買えないと思います。

 

 

 

調べると色々と情報が出てくるじゃないですか。

「これはお金がかかります」とか、「Sクラスはどうです」「年収いくらないと・・」

実際それを考えていると、誰も乗れないんじゃないかと思います。

 

購入に踏み切れたのは、実は現物を見ずに買ったからです。

 

クルマを見ないで買う、って一番無謀なやり方だと思いますよ。(笑)

 

買う時に仲介してくれた方から「このメルセデスは間違いありません」と言われました。

「新車当時のものからスペアキーから、すべて揃って、新車から大事にされてきました」ということで。

 

私、その人に質問しましたね。

「自分みたいな男がベンツに乗れるでしょうか」って。

 

その時に「覚悟はありますか?」と逆に聞かれました。

 

「それさえあれば大丈夫ですよ。あなたがそう思われるんでしたら大丈夫ですよ」って言われて。

 

安心しましたね。その言葉を聞いて。

あなたが言うなら信用します、と決断出来ました。

もちろん維持できる自信なんてなかったですよ。

どこに整備を持って行っていいかも分からないし。

 

 

ただひとつ、「このクルマとは絶対“縁”がある」と思った。だから信じた。

 

 

それで乗ってみて、駄目だったらその時考えればいい。

 

 

人間と一緒なんですよね。“縁”というのは。

いつ何時、その縁を終わらせてしまうのか、続けさせていくのか。

 

それは本人の心構えであって、付き合い方次第だと思うんです。

 

 

 

納車が終わったあとに、前のオーナーさんと、仲介していただいた方からお手紙を頂きました。

すごい長文で。

 

これは今でも大事に大事に、スペアキーと一緒に神棚に上げています。

生き様が書かれていました、そのお手紙には。

 

 

自分はこういう気持ちでこのベンツを買ったんだ。

知らない土地で会社を立ち上げて、軌道に乗せて、その時に初めて自分のお金でベンツを買ったんだ、と。

今の世の中大変だよな。極力可愛がってやってくれって。

 

涙がでるほど嬉しかったです。そのお手紙をいただいて。

 

 

 

自分よりもだいぶ先輩の方なので、いまでも定期的に写真を撮って手紙を送りますよ。明太子も一緒にね。

そんなことしなくていいよ、って言われるんですけど。

自分が勝手にしてる事なんで。自分はそういう男なんで。って。

 

 

 

 

“縁”を感じるクルマと出会いがあったんですね。

 

 

そうです。“ご縁”です。

 

もうひとつ、このクルマとだったらトコトン付き合おう、と思った出来事がありました。

 

 

熊本の震災がありましたけど、あの時に私は鹿児島にいました。

高速道路が通れなくなって、どうしようもない状況が続いてました。

 

あの時、いの一番に電話があったんです。これ、誰からだと思います?

 

九州にいることを知っているベンツの前のオーナーさんからだったんです。

 

 

「あんた大丈夫ね?」って。

 

 

クルマの心配じゃなくて、僕の心配をしてくれて。一度もお会いした事もない方からですよ。

私は感動しましてね。本当に嬉しかった。

 

ベンツの前のオーナーは新車で購入されて、こういう人付き合い方をされてきたんだって分かりました。

 

「一日も早く戻ってはやくベンツに乗りたいです、私のほうは大丈夫です」とお話したら

「そうか、分かった!」と。

 

 

 

そういった付き合い方なんですよ。

 

通常だったら物の売り買いなんて、売ったらおしまい、ですよ。

 

私は営業の仕事をしていますが、物を売って利益を上げないといけない、というのはもちろん分かります。

でももし、休みの日に街ですれ違ったら、「おおっ!こんにちは!」って気軽に挨拶したいじゃないですか。

それくらいの気持ちでお客さんと付き合っていきたい、というのがあります。

 

 

私はそういった付き合い方なんですよ。

 

だから、このベンツに乗りたい、このベンツを維持していきたい。という特別な気持ちがある。

 

だから乗る。

 

これが私が“このクルマに乗ってる理由”です。

 

 

 

 

 

“特別なクルマ”と感じることができるって、とても幸せなことですね。

 

 

そうなんです。

実はW126は残ってないと思っていたんです。

 

 

ベンツが欲しい、と思って色々あたってはいたんですが、W124の500なんかは探してはいました。

さすがにW126は残ってないだろうと。

最初から諦めていました。

 

 

「良い126があります」と言われた時には、「逆になんで残っているんだろう?」と不思議に思いました。

これは前のオーナーさんのチョイスが良かったからなんですね。

良いクルマは残るべくして残っている。

 

 

そこには理由がある。

 

 

 

バブル全盛期の頃です、このクルマが開発されたのは。

 

ベンツの歴史を調べ始めました。

当時のメルセデスのスローガンが「最善か無か」。

 

コスト度外視。ゼロか100か。

いろんな意味合いがあると思うんですが。

 

 

 

私、50歳手前まで30年間技術者だったんです。だからずっと機械と話をしてきました。

その頃の時代は、挑戦することに意味があったんで。

 

怖いとか失敗したらどうしよう、ではない。そこを見越して上司はカバーしてくれた。

「とりあえずやってみよう」「やるならとことんやろうよ」そういう時代だったんです。

 

 

私の技術者だったときの気持ちとリンクしたんですよ。

 

 

私にとってはそういう特別なクルマなんです。

 

 

 

 

維持をされている上で、気をつけられていることはありますか?

 

 

運転の仕方と乗るときの姿勢には気を使っていますね。

いつ誰が見ているか分かりませんからね。

 

人に嫌な思いをさせてはいけない。

これは自分の中でルールを決めています。

 

うしろでこんなクルマが嫌な運転をされたら、そりゃ前のクルマは気分悪いですよ!(笑)

 

 

 

「このクルマに似合うようになりたい」という気持ちで乗っています。

自分はまだ似合っていない。

かっこよく乗りたい。

本当の意味でSクラスが似合う初老のじじいになりたいよね、

いつもそういう気持ちです。

 

 

 

あとは、クルマに対してはとことん愛情をかける。

 

愛情っていうのは、やっぱりお金をかけるっていう意味なんです。

いやらしく聞こえるかもしれませんが。

 

ただ、何十万円もお金を使う、ということではないです。

洗車をする。そのためにはシャンプーを買わなければいけない。買うにはお金がいります。

 

 

 

口で「愛情をかけてます」っていくら言ったところで、出先で止まっちゃうと意味がない。

 

クルマは機械ですけど、生き物と一緒です。

そっぽ向くときは急にそっぽを向きますよ。

 

 

 

たとえばの話ですが、

出先で止まりました。JAFの方が来てエンジンルームを見てくれました。「オルタネーター故障してる!」

私はそういうのが嫌いなんですよ。

 

交換しないきゃいけないんだったら、交換しないと駄目だよね。って。

 

定期的なオイル交換も一緒です。

機械なんですから、そういう事をきちんとやってあげないと。

 

 

 

生き物みたいなんですよ。本当に。愛情を注いでいるときは必ず助けてくれる。

 

今回はドライブシャフトの修理で入庫しています。

 

通常だと、オイルにじみくらいいいじゃん、となります。

年代ものですからよくあるトラブルです。

 

 

でも自分の足だったらどうします?

血が流れ出ているのにほっときませんよ。

病院行きますよね。それと一緒だと思いますよ。

 

 

 

正直、ここまでしなくていいだろう、という作業の内容までしてもらっています。

それはなぜかと言うと、ベンツはいつも問いかけてくるんです。

 

「お前に覚悟はあるのか?」って。「本気で乗るの?」って。

 

 

いつもクルマと会話をしてるんです。

要するに“変態”なんですよ。(笑)

 

 

 

情熱と覚悟は人一倍ありますから。私はそういう人間です。

惜しみなく愛情を注いであげる。

するとクルマがまた反応してくれるんですね。

 

元に戻してくれる病院は絶対に必要なんです。

 

 

でもそれはエステではない。

 

 

 

クルマにとってのエステとは、どんなものでしょうか?

 

昔から国産車に乗っているときに、チューニングにはまっていました。

とにかく色々いじり倒してました。元の形がなくなるくらいに。

 

残業したり、給料のほとんどをそこにつぎ込むわけです。

 

 

マツダの初期のロードスターに乗ってた時なんですけど。

 

 

ある時、ノーマルのロードスターに乗られている、私より年上の方とお話する機会があって。

乗ってみると、ノーマルのほうが良かったんです!(笑)

 

それでぱっと目が覚めましてね。

 

自動車メーカーさんが、なぜこの車高にして、このサイズのタイヤにして、このマフラーなのか。

初めてわかりました。

 

自分なんて改造することがクルマにとっていい事だと思ってましたから。

 

 

 

その方から遠まわしに言われたことが、

 

「チューニングも悪いとは言わない、ただ目的意識をもってやらないと意味がないよ」って。

 

レースに出るわけでもないのにそのロールゲージは必要ないでしょ、と。

 

 

何を求めてそのクルマに乗るのか。

方向性がないとぶれちゃう、お金の無駄になっちゃうよって。

必ず飽きる、ともいわれました。

一理あると思いました。案の定飽きましたね。

 

 

 

大事なのは元の状態に戻す。それだけなんです。

 

だから病院であってエステではない。

 

 

元の状態がどうなのか、そこを知るべきなんです。

悪くなったら病院で元に戻してもらう。人と一緒です。

 

 

その元の状態を知っているのが、山内ガレージの岩﨑さん、なんですよ。

 

そこが分かるから、私は面白いって感じているんです。

 

 

 

 

ありがとうございます。

面白いと感じていただいているんですね(笑)

山内ガレージにはどんなきっかけでいらっしゃったんですか?

 

 

ご紹介していただきました。

オイル交換とかプラグコードの交換してもらえるところを探していて。

 

山内ガレージの岩﨑さんって人がいるから。って

 

いろいろ扱ってくれるところを探してはいたんですけど、なにぶん古いクルマですからね。

 

紹介してもらって、お店に行って、プラグコードの交換をお願いしたんですよ。

 

 

ただその時は交換を勧められなかったんです。

 

 

「え?なんで?お客が交換してって言ってんだから交換したらいいじゃん」

って不思議に思いました。

 

 

説明を聞いたら、元を正さないと駄目だってことで。

あぁなるほどって納得できました。

 

人間と一緒なんですよ。本当に。

 

ここの状態はこうですから、今は直さなくても大丈夫ですけど、今後はこうしましょうね。って。

 

 

 

ひとつひとつ丁寧に、真剣に教えてくれるじゃないですか。

クルマのことを理解してくれて、いろんな知識を教えてもらうことができる。

 

こればかりはクルマ本来の姿がわからないと、本来こうなんですよって言うことはできないですから。

 

こちらの言うことも真剣に聞いてくれる。

 

 

 

整備をしてもらうときは、とことんディスカッションさせてもらいます。

 

これは私の経験上ですが、自分の考え方とリンクしないとやっぱり長続きしないんですよ。

無理して背伸びしても駄目なんです。

 

分かってもらえる、聞いてもらえる、それが一番の魅力だと思います。

 

 

 

実は岩﨑さんもクルマと話をしてるんじゃないかって思ってます。

これは技術者としての勘ですよ(笑)

 

口に出さなくても心でクルマと話をしていると思います。

 

だから僕のベンツも彼に従うでしょうね。

 

 

 

 

クルマって本当に生き物のようですね。

 

 

そうです。生き物です。

 

毎日話しかけますよ。クルマに対して。

 

工場に入るときは「痛いかもしれんけど、もうちょっとやけんね、なおったらまた走ろうね」って。

見ず知らずの人からすると、変な人でしょうね。(笑)

 

でもそうやって接すると、ちゃんと応えてくれるんです。

 

 

心があるんですよ。

 

いろんな知識があって整備をしてくれる人は他にもいるかも知れません。

でも、調整ひとつ、整備ひとつにしても”心”を入れて整備してくれる人は岩﨑さんの他知らない。

 

 

ものじゃなく、生き物としてちゃんと扱ってくれますから。

 

だからここにすべて任せてます。

 

 

 

あともうひとつ。

これは私が北陸にいた時に、先輩のお父さんが宮大工だったんですね。

 

その方と一緒にお酒を飲ませてもらった時があります。

 

宮大工さんって、その分野のことになると頭の中でシュミレーションするんですよね。

同じ技術者として話をさせてもらったけど、私の常識の範囲をはるかに超えていました。

 

 

これがこうなって、これをこうして・・・。

 

あの人達の頭の中はインスピレーションだらけなんだなって感じたことがあります。

 

生まれてくるインスピレーションというのは、経験したものからしか生まれないんですよ。

 

 

自分が経験してきたもの、は”生きたもの”なんです。

 

 

何かから得た知識だったり、例えばインターネットから得た知識なんかは実際の経験にはかなわない。

 

その生きたものを活かして仕事をされているのは、宮大工さんに似たものがありますね。

 

 

言うなれば芸術家ですよ。

だからこそ、話をしていて面白いんです。

 

 

 

自分が面白いと思ったらやっぱり面白い。

面白いって思わなかったら、やっぱり面白くない。

 

50代。すごい面白いですよ。

 

20代は夢に向かってさぁ行こうっていう勢いです。

30代だと家庭ができて、40代だとさらにお金がかかって。

 

歳をとるごとに諦めることが多くなってくる。

 

ストレス社会なんて言われて、面白くないことはたくさんあるんですよ。

でも自分で面白いって思わなきゃ、本当に人生損だと思います。

 

 

 

 

 

クルマとの接し方は、人との付き合い方であったり、その人の生き方にも通じることがありますね。

 

 

自分の命を預けて、自分の命をちゃんと守ってくれる。

 

クルマに対しては礼儀を尽くさないといけない。ありがとう、ありがとうと言いながら。

 

 

私はクルマとはそういう付き合い方をしていきたいし、これからもそうしていきたいと思っています。

 

ショップさんに対しても一緒です。お付き合いを真剣にやる。

 

 

それが私の流儀です。

 

 

 

 

貴重なお話ありがとうございました。

最後に、当社のエンジン内部洗浄を以前施工されて、その後いかがでしょうか。よかったらご感想をいただけませんか?

 

 

魔法みたいなものですよね。

 

 

ドロドロかったるい回りきれないあのV8エンジンが、ここまで軽いかって程アクセルが軽く、クルマが軽く感じられました。

 

 

アクセルをちょっと踏むだけで加速する、伸びる。

 

一言で言うと現役の浅田真央ちゃんがトリプルアクセルをビシっと決めるような感じ。(笑)

 

氷の上をスムーズに華麗に滑る、シュッと回って、パッと着地する感じです。

 

 

 

ただ、良すぎて困る、というのはありますよね。

これが通常の状態になっちゃうと、もう感覚が慣れちゃうわけです。

これが当たり前の状態なんだって。

 

 

 

 

正直に言うと、このお店のことをあんまり人におすすめしたくないっていうのもあります。

自分だけのものにしたい。っていう意味です(笑)

 

こっそり自分だけに微笑んでいてほしい。

 

要は変態ってことですよね。(笑)

 

-2018.06.02

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