今回整備させていただいたこちらの「BMW525」、1990年式(H2年)と27年前のお車になりますが、
エンジン・足回り共に今までこまめに整備を行ってあり、GOODコンディションを保っていたお車です。
今回の入庫経緯は、スターターは回るがエンジンが始動しない・・・という症状で、レッカーにて運ばれてきました。
オーナー様にエンジンが始動しなくなった時の状況をキメ細かくお伺いしたところ(病院で例えたら問診です)、
車庫にてエンジンを始動、暖気後に車庫から路上に移動してエンジンを止め、数分後にまたエンジンを始動させようと
したところ、エンジンがかからなくなったとの事でした。
さて、ここから診断(診察)へと入っていきます。まずは、電機的な故障がないか?
診断機(テスター)にてチェックします。 オールドカーにはオールド診断機(OB91)にて点検です。(年式によって車両の通信速度が全く違う為です)
診断機の結果は、No Fault code(故障なし)。しかし、症状はでています。
電機系統の故障の場合、故障コードが残らない場合があります。(ここからは知識と経験を活かします!)
次に「燃料がエンジンにきているのか?」 「点火火花は飛んでいるのか?」の点検(病院で脈や血圧を測るようなものです)をしたところ、どちらも正常ではありませんでした。
疑わしいのは「クランク角センサー」。これは、エンジン回転を電気信号に変え、コンピューターにエンジンが回転していることを伝える部品です。クランク角センサーが不具合を起こしていたら、エンジンはかかりません。
又は、信号を受け取る側の「エンジンコンピューター」の不具合かも。
↓ オシロスコープにてクランク角センサーの信号点検を行います。
クランクセンサーのカプラーを外し信号波形を点検したところ、波形は出ているがセンサーの発生電圧が低い為、
コンピューターへ信号が伝わっていないようで、これが原因と判明!
↓ 点検中の信号波形 (病院でいうと心電図です)
それではクランク角センサーの交換(手術)を行います。
クランク角センサーは、エンジン前方の狭いところに取り付けられているのですが、なんとか無事に交換を終えました。(手術は成功)
↓ クランク角センサーの取り付け位置
交換終了後、エンジンをかけ確認したいことろですが、その前にちゃんと新しいセンサーが信号を出しているかの点検です。
↓ 再度、オシロスコープにて波形の点検! 正常に電圧も出て大丈夫そうです!
さて、エンジンを始動します。 かかりました~!
ロードテストを行い、オーナー様にお車をお引き渡ししました。(無事退院!)
以上で今回の修理は完了です。
↓ こちらは今回交換したクランク角センサーです。
今回、人が病院に行くように例えてみましたが、車の修理も人と同じ感じで行います。(少しでも伝われば幸いです・・・)
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