
いつも山内ガレージのブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、メルセデス・ベンツ 300E-24(W124)の「朝の始動は問題ないが、走行後の再始動時にエンジンがかかりにくい」という症状でのご相談でした。
詳しく点検すると、朝の始動も完璧ではなかったため、原因が一つではないことがわかりました。
まず判明したのは、インジェクターの燃料の後ダレの不具合と、燃料ディストリビューターからのエアー吸い(漏れ)でした。


新品の機械式インジェクターには、品質を保持するために保護用メクラが取り付けられています。このメクラを取り外すには、インジェクターテスターで60回以上圧力をかける必要があります。
山内ガレージでは、メーカー指定の修理マニュアル通りの交換方法を遵守しています。
マニュアル通りに交換を行わない場合、エンジンの不調につながる可能性があります。
下の写真はインジェクターのテスターです。
新品の部品だからと言って、そのままの取付けはNGです。
常日ごろから、一つ一つの作業を丁寧に行っています。


次に燃料ディスビからのエアー吸い(漏れ)修理です。

ゴムのOリングが劣化して余計な空気がエンジンに入ることで不調が起きますが、この部品は生産が終了していました。そのため今回はお客様にご了承いただき、シーリング処理でエアー吸い(漏れ)を止めました。
さらにエンジンの始動不良の原因として、燃料圧力の低下が見られました。

このエンジンは常に燃料圧力が3bar(バール)ないといけません。
インジェクターは始動性を良くする為に、機械式で開弁圧力が3.2〜4.2barで噴射する構造になっています。
エンジンの始動後は、6bar前後が正常です。
点検すると1時間ぐらいで燃料圧力が0barとなりました。
ここで、燃料が外部で漏れてるか?もしくは、内部で漏れてるか?
ということに原因が絞られました。
外部の漏れは、燃料アクチュエーターからのガソリン漏れでした。


上記のように燃料アクチュエーターを交換いたしました。
これで再度ロードテストを行い、暖気後の始動性を確認したところ、
まだクランキングが長い!!
再度点検を行うと、やはり燃料圧力が下がるので、燃料ポンプ横の燃料アキュームレーターが内部でリーク(漏れ)が確認できました。


燃料アキュームレーターは、3barの圧力を保持する為内部にゴムの弁が内蔵されており、そのゴムの弁が内部で破れ、それが原因で圧力が低下している事が判明しました。
圧力の低下を確認するために、アキュームレーターの単体点検を行いました。
燃料圧力は、一晩おいても下がらないことを確認しました。


燃料アキュームレーターの交換を行いました。
これらの修理後、冷間時も暖気後もエンジンの始動性が良くなりました。

フューエルディスビを採用しているお車は、今回の作業のように一つの原因から、複数の原因が重なっていることも多くあります。
しかしだからこそ、一つずつ丁寧に直していくことで、車の寿命は確実に延び、長く乗り続けることができます。
山内ガレージは、皆様が愛車と長く付き合っていけるよう、これからも全力でサポートさせていただきます。お車に関するご相談がありましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。
山内ガレージ一同、皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
宜しくお願い致します!
山内ガレージ 岩﨑
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