皆さま。こんにちは。山内ガレージ岩﨑です。
今回のご依頼内容は、駐車中に車両の中央下部より突然クーラントが漏れ始めたとのことで、レッカー搬送されてまいりました。点検の結果、室内のダッシュパネル内に装着されているヒーターコアからのクーラント漏れを確認。漏れたクーラントは、エアコンの水抜き穴より室外へ排出されていました。
修理するには、室内のダッシュパネルを外しエアコンエバポレーターケースの脱着が必要…
お客様は、今回の修理に伴いレンタカーを借りられており、費用的にも時間的にも早く修理を行いお渡しする必要がありました。
様々な方法を検討した結果、ヒーターコアに行くクーラント経路を遮断し、バイパス改造修理をする事で、まずは安全に走行できる状態にすることを提案いたしました。
ただし、ヒータが使用できなくなるため、一時的な修理になることをお客様へお伝えいたしました。お客様にその旨を相談した所、その方法で修理を行って下さいと、許可を得ましたので、作業を進めることとなりました。
複数故障箇所がある為、一箇所ずつ故障を直していきます。
クーラント漏れの修理後、電動ファンヒューズ切れと電動ファン本体も固着の為、修理交換を行なっていきます。
電動ファンヒューズ土台修理。
次に電動ファン本体も、焼きついて固着していた為、交換。
念の為、電動ファン配線も点検を行うと、プラスとマイナス配線が熱で溶け配線内部でショートしていました。
これもオーバーヒートの原因でした。
部品を調べるとドイツには、在庫ありましたが時間的な制約もあり、配線を制作して修理を行いました。
全ての修理完了後、エンジンを始動しオーバーヒート点検を実施。水温計の上がり方が早い為、サーモスタットを点検すると、サーモスタットの開きが少ない事が判明。開きが少ないとオーバーヒートの原因になる為、サーモスタットを交換しました。
再度点検、ロードテストを行い、水漏れオーバーヒート電動ファンの作動に異常がない事を確認し、修理完了!
今回の故障の根本原因について分析した結果、最初にサーモスタットの開きが悪かったことが連鎖的な不具合を引き起こした可能性が高いと判断いたしました。サーモスタットの不具合によりエンジン水温が過度に上昇し、電動ファンが許容範囲を超えて作動した結果、電動ファン本体が固着。さらにその負荷により配線が熱で溶けてショートし、ヒューズが切れました。エンジン温度の上昇による水圧上昇も重なり、最終的にヒーターコアからの水漏れを引き起こしたものと考えられます。
納車後、お客様からは「水温が上がらず安心して車を運転できるので快適です!」と温かいお言葉をいただきました。山内ガレージとしても、お客様に安心をお届けできたことを光栄に思います。
長年にわたり、メルセデスベンツW124を整備させていただいたノウハウや経験により、今回の修理を無事に完了することができました。
走行距離43万キロという数字を重ねつつも、今なお元気に走行できているのは、地道な点検・整備を欠かさず行ってきた結果、と言えるかもしれません。私たちがご提案する整備プランは、こうした一台一台と真摯に向き合う姿勢に基づいております。
お車のことでご心配なことやご要望がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
今後とも山内ガレージを宜しくお願い申し上げます。
山内ガレージ 一同
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