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ベンツSL500(R230)部品はドイツに2個…

スタッフブログ

皆様、いつもブログをご覧いただきありがとうございます。

ブログ初登場させていただきます田﨑(45歳)です。今回ご紹介させていただくお車は、10月のブログでもご紹介したSL500になります。

今回は、バリオルーフを開閉した時にサイドパネルのフラップが破損して外れてしまったようです。

フラップ取付部を確認したところ、3箇所全ての爪折れや変形があり、フラップのステンレス棒を固定する事ができずに外れたようです。

サイドパネル
フラップ取り付け部

このままでは、オープンにした場合に片方だけ穴が空いたようや状態になるので、お客様から修理を依頼されました。

部品を調べると、国内に在庫は無くドイツに2個あるのみ…しかも部品代が約29万でした!

お客様にご連絡してお伝えすると『今回はフラップが取れただけで、走行に支障はないので修理は諦めます』とのお返事でしたが、電話先のお客様の声で本当は修理されたいお気持ちが伝わりました。

私は、あの3箇所の爪さえ修理できれば、なんとかなるのではないかと考えました…フラップのステンレス棒を固定でき、開閉時の動きに耐えれる物はないかと…そしてフラップからステンレス棒を引き抜ける事を確認し、観察していると…そうだ!閃きました。

再度、お客様に連絡をして試したい事がある旨をご説明し、作業の許可とお時間を頂きました。

私が閃いたのはこれです↓

配線を接続する端子です!

ステンレス棒を観察して気付いたのが、棒の太さがオーディオ等に使われる配線に近いサイズだったのです。早速、端子にステンレス棒を差し込んでみたところ、ジャストサイズです!しかし、もちろんこのままでは使用できませんので加工が必要です。

先ずは先端部を切除してノギスで採寸した寸法まで削り、厚みを調整する為に表面も削る必要があります。

しかし、この作業にとても必要な道具が足りない事に気付きました。

老眼鏡の使用目安…45歳から必要なんですね!

早速、道具(老眼鏡)を購入して作業開始です。先程までと違い手元がとても良く見えます(笑)

右が加工した端子です。

破損した3個のフラップ爪は、1番原型があるのをセンターを出す為に残して補強し、他の2個は切除して加工した端子を取り付けます。取り付けには強力な2液性樹脂接着剤を使用します。イメージは出来ていますが強度が心配なので動作テストが必要です。

仮止めした状態です。

さらに接着剤で端子を接着させます。接着剤が硬化したのでフラップをサイドパネルに取り付けて動作確認をしましたが、接着だけではフラップが開く際に上に持ち上げられる力に耐えれませんでした…

そこで、端子が引っ張られる力に耐えれるように再度加工する事にしました。今度は端子の1割くらいをカットして曲げてフラップの爪裏に引っ掛けて固定します。これで開閉時の強度も問題ないはずです!

画像では、分かりにくいと思いますが、老眼鏡でハッキリ見えている私はイメージ通りです。加工した端子を2箇所に固定して外れないように接着します。

接着は開閉時にフラップに干渉しない範囲で樹脂接着剤で沢山覆って完全に固定しました。(接着剤添付後の画像が保存されていなかったので、企業秘密という事で…)

後は、端子と接着剤の所に黒色塗料を塗り、隙間から見えても分かりにくいようにし、サイドパネルにフラップを取り付けました。

フラップ取り付け後の動作も問題無しです!

最後に、サイドパネルを車両に取り付け、実際にバリオルーフを開閉してチェックした所、問題なくフラップも開閉する事を確認いたしました。

お客様に連絡をして修理ができた事をご説明したところ、とても喜んでいただけたので私まで嬉しくなってしまいました。

山内ガレージ創業者の山内さんから、『常に身の廻りにある物で、何か修理する際に流用出来ないか考えておく必要がある』とう言葉がありました。

山内ガレージでは、単に壊れた部品は交換するだけではなく、修理する方法がないかも常に考えて作業させて頂いています。

皆様、これから本格的な寒さに向かう時節になりますので、風邪など召されませぬようご自愛ください。

-2020.11.30

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