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シトロエンBX エンジン不調の修理 キャブレターオーバーホール

スタッフブログ

こんばんは。

山内ガレージです。

 

今回はシトロエンBXの修理の様子をご紹介させていただきます。

 

症状は、エンジン始動時に黒煙を出し、エンジンが暖まった際にアクセルを踏んでも加速しない

という症状でご入庫をいただきました。

 

 

おクルマの確認作業です。

チョークが戻っていないことを確認しました。

何社かの整備工場でお世話になったとの事で、他の部分の確認も含め、以下の点検作業を行いました。

エンジンの基本点検をすべて行い、エンジンピストンの圧縮があることも確認しました。

 

 

キャブレターのオーバーホールも含め作業を行いました。

今のおクルマですと電子制御によりオーバーチョークをコントロールしています。

こちらのおクルマはエンジンの冷却水の温度によりサーモスタッドを温めて機械的にオートチョークのコントロールを行っています。

 

 

こちらの中にサーモスタッドがあります。

確認すると、サーモスタッド自体の作動不良が確認されました。

こちらは新品部品と交換を行いました。

 

 

次はキャブレターのオーバーホールです。

丁寧に分解していきます。

 

 

 

 

ファーストアイドル不調の原因はこちらです。

ダイヤグラムというゴムでできた部品ですね。

エンジンの吸う力を利用して動いて調整する部品ですが、ここにかすかな破れが見られました。

 

 

ここで問題が発生!

こちらの部品単体ではもう供給していないとのこと。

また、全体的なシャフト部分からのエアー吸いがあり

キャブレターアッセンブリー交換をしました。

 

 

 

キャブレターが到着次第、交換して終了!

というところなのですが、まだやることは残っています。

 

バルブタイミングの確認です。

実はこの作業が重要です。

 

キャブレター部品だけを新品交換し、エンジン本来の性能を発揮するかというとそうではありません。

全部のシステムを基本通りに作動しているか、確認が重要です。

エンジン本体を動かすバルブタイミングの位置を基準どおりに合わせなければ、新品のキャブレターを使用しても意味がありません。

 

 

こちらを見ると、赤いマーカーで印が付いてます。

 

まれにバルブタイミングがベルト交換時に一山か二山ずれていることがありますので

今回はタイミングカバーをはぐって、確認しました。

その結果、マジックペンによってマーキングされていました。

カムシャフトのスプロケットおよびクランクシャフトのスプロケットにバルブタイミングをセットする穴がありますので、スペシャルツールを使用して確認をしました。

バルブタイミングとしては合っておりましたが、本来マジックなどでマーキングする場所ではないので正規の方法で調整をやり直しました。

サービスマニュアルで確認し、メーカーが指定している基準どおりの位置で調整を行いました。

 

 

一部タイラップで止められている部品もありますね。

ロワータイミングカバーを固定しているボルト穴が欠損しています。

 

 

こちらの部品が取れると、エンジンの振動で音が発生します。

 

 

手が入らない部分なので、ナットを加工して取り付け固定し、ボルト止めを行いました。

 

 

 

さて、キャブレターの新品が届きました。

現車のエンジンの状態にに合わせて微調整をおこないました。

整備完了です。

試運転の結果、キャブレター独特の吹け上がりで良好でした。

調子が悪いままエンジンが動いておりましたので、エンジン内部洗浄を実施し、より調子が良くなりました。

 

 

インジェクションの現代のクルマと比べると、キャブレターのクルマは味があります。

アクセルを開けすぎるとかぶったり、長期間乗らないとエンジンがかからなかったり。

扱い方で調子が悪くなったり、難しい部分も有りましたが、当時はそれが普通だったんですね。

時代を感じます。

キャブレターの修理や調整は、個人差がありメカニックの技術差が出やすい修理内容になります。

 

最後にシトロエンのステアリングホイールについて。

 

 

特殊な形をしていますね。

このステアリングホイールの形状について、山内さんより教えていただきました。

左右非対称のこのステアリング、じつはドライバーを守るために設計されてこの形をしているのです。

ステアリングホイール自体に衝撃吸収の機構を持たないため、運転手がハンドルにぶつかった際、ステーのない方向でハンドルが曲がります。

左ハンドルの場合は、衝突時にドライバーをクルマの内側に移動させる働きをします。

右ハンドルの場合は、ステアリングホイールの形は逆になります。

安全を優先に考えられた素晴らしいおクルマですね。

 

-2018.12.01

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